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ポリアミンとは

全ての細胞内で作られる物質で細胞の増殖に深く関連しており、細胞分裂がさかんな組織ほど高濃度に存在します。 たとえば、細胞分裂がさかんな赤ちゃんが生まれて直後に飲む母乳は、分娩後数ヶ月経った母乳と比較してポリアミンが多く含まれています。
これは未熟な赤ちゃんの腸を早く成熟させ、腸の消化吸収機能やバリア機能を高めるためと考えられています。また、ポリアミンには抗炎症作用があり、自然免疫系では炎症性サイトカインが過剰分泌されることで炎症が起こりますが、ポリアミンはこの過剰な分泌を抑制することが知られています。これらのことからポリアミンは細胞成長に欠かせない物質であり、正常細胞の成長や増加に必要なものだと言えます。
しかし一方でガン細胞にとっても必要な物質であり、環境中にあるポリアミンを吸収してガン細胞は成長増加するのです。 実験で、ガン細胞をもつ動物にポリアミンを投与するとガン細胞は増殖しますが、正常動物にポリアミンを与えてもガン化しません。
ポリアミンはむしろ正常時には、DNAの突然変異を抑制するなどして、ガンの発症を抑える作用があると推測されています。
前述したとおり、ポリアミンはガン細胞の増殖に寄与するため、生体への悪影響の懸念もあります。すなわち、ポリアミンはガン細胞の成長を促進する作用もあるということです。ガン治療にポリアミンの摂取制限をする食事療法、例えば前立腺ガンに対してポリアミンを制御した食事療法の効果が報告されており、さらにはポリアミンが化学的治療薬と拮抗して、悪影響を与える場合も調べられています。このようにポリアミンの生体影響には、良性の効果と悪性の影響があり複雑なため、今後のさらなる研究が求められています。
よって食事は、ガンの治療において重要な役割を持ちます。治療前、治療中、治療後に適切な食事を摂ることは、より良い経過と治療による副作用への対処が容易になります。裏を返せば、誤った食事によりガン細胞を増やし、ガンを増悪させる恐れがあるということです。
ポリアミンを多く含むものを摂取することで、ガン細胞が増え腫瘍マーカーが上がる可能性があります。マクロファージ系の活性を促す食品においても、ガン細胞を増悪させる現象が見受けられます。
※「日本食品分析センター」文献から一部抜粋